当日の本戦は、サイズはあまり変わらないものの波数が少ないため、我慢仕切れずインターフェアする選手が続出。試合後半にはオンショアも強くなり、面はガタガタ。アウトでブレイクするもののミドルはタルくなり、インサイドで張るショルダーで何とか技を入れるというコンディション。これはスキルだけでなく、波を見る目も必要となり、子供たちには厳しい戦いとなった。
まずはカデットクラス。決勝に進んだのは前年度グランドチャンピオンの加藤嵐。アメリカはサンクレメンテ在住の16歳、小林正。あのガダスカス三兄弟の後輩にもあたる帰郷組の一人だ。小柄ながら負けん気一杯の大原洋人。バックサイドが切れ味抜群の寺島真央の4人。まずは寺島が得意のバックハンドで一発ながら大きなスプレーを上げる。大原も小さな身体を大きく使い、思いっきり当て込むも今一つ決め手に欠ける。小林はジュニアとのダブルエントリーでの疲れが出たか、今一つ精彩がない。ここで飛び出したのが加藤嵐。一人スピードに乗った演技でリップを繰り返す。難しい波のセレクションもきっちり読んで、ブッチ切りで優勝を決めた。
続いてジュニアクラス。ファイナルメンバー松岡慧斗、高橋健人、大澤伸幸、中村昭太の4人。全員JPSAのプロであり、中村を除く3人は昨年度のプロジュニア世界選手権の日本代表メンバー。その中村も今年のJPSAでは現時点カレントランキングで3位という成績で、好調さは目を見張るものがある。
試合開始と同時に積極的に攻めたのは中村。アウトからインサイドにつなぎ最後はエアー気味のフィニッシュ。これでアベレージのポイントを連続で獲得。まずは試合を優位に進める。それに食らいついたのは高橋。「今年は負けない」と試合前に熱く語り、気持ちの強さで粘り強くリップを重ねる。松岡慧斗もセミファイナルでは余裕の勝ち上がりを見せ、この決勝でも同様なペースで攻める。WQSでの敗戦を反省し自分の波乗りを心掛けているのだろう。
大澤のみがまったく動かず前半が過ぎる。一進一退でヒートが進む中、なんと1位の中村を急追していた高橋が大澤に痛恨のインターフェア。ここで中村がさらに乗りたい放題。優勝に必要なポイントは松岡が6.50ポイント、高橋が8.92ポイント、大澤は7.65ポイントとなる。誰もがこのコンデイションでは逆転は無理と思った3分前。大澤がきれいなライトブレイクをつかまえ、ファーストリップから特大スプレーを飛ばす。そのまま続けて二発。さらにリカバリーで一発とギャラリーからも歓声が上がる。これにはなんと8.00ポイントがつき大逆転。残り1分で必要なポイントは中村が5.86ポイント、松岡 6.51ポイント、高橋が9.27ポイント。全員最後まで勝負を諦めず、来る波来る波テイクオフして攻めるも得点は伸びず。このまま大澤伸幸がうれしい優勝を決めた。大澤は今シーズン、パワー不足解消のためトレーニング重ね肉体改造を行った。しかし、筋肉がついて身体がでかくなった分、重くなり思うような動きができなかったのも事実。敗戦が続く中で、もぎ取った今回の優勝。まだ自分をコントロールできないところもあるが、持ち前のスピードにこのパワーを身につければもう一回り大きくなれるだろう。反対に試合後、中村、松岡、高橋は険しい表情で上がって来た。やはり勝ちたいという気持ちが強かったからこそなのだろう。覚えていて欲しい。この悔しさを忘れずに。絶対次につながるからね。
今回の大会で感じたのは、ジュニア、カデットの選手たちが昨年より格段にうまくなっているということ。これはジュニアだけの試合があることが選手の経験となり力となっているからだろう。実際、ASPジュニアだけの試合は全4戦。さらにJPSAが全5戦、ASP WQSが全3戦とジュニアのメンバーは参加しようと思えば、すべて参戦できる。(ただしJPSAは公認選手のみ)普段の練習に勝るものはないとしても、試合本番で戦って覚えることが今の若い世代には一番大事。これが大きな成果となっているのは間違いないだろう。今シーズンはあと神奈川 湘南、福島 北泉、宮崎 日向と三戦。ジュニアの戦いはまだまだ続く。今年は実力伯仲。カデットクラスの選手も伸びて来て、ジュニアを脅かす勢いだ。面白いことは間違いない。ぜひ一度観戦してみたらどうだろう。日本のサーフィンの未来が見ることができるよ。
(TEXT& ALL PHOTO BY;S.YAMAMOTO)
※オークリープロジュニア特設フォトギャラリーをご覧下さい。
Junior クラス結果(U21)1.大澤伸幸 2.中村昭太 3.松岡慧斗 4.高橋健人
Cadetクラス結果(U16) 1.加藤嵐 2.小林正 3.寺島真央 4.大原洋人
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