Fish Fry Japan 2009 SURFMEDIA NEWS

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更新日 2009-07-02 | 作成日 2009-01-26  

Fish Fry Japan 2009

 去る6月6日、今年も静波海岸で「Fish Fry Japan 2009」が開催された。Fish Fryはカリフォルニアのサンディエゴを発祥地とするフィッシュ・ボード愛好家とシェイパーの交流を目的としたの非商業的イベント。日本では、昨年の初回に続いて2回目の開催となる。メーカーに限らずガレージ・シェイパーでもコレクターでも無料で参加できるイベントだけに、今年もたくさんの出展者が会場を埋め尽くした。昨年同様に朝はあいにくの雨模様だったが、波は腰〜腹の無風コンディション。フィッシュ愛好家たちは、各出展者が用意した試乗ボードで午前中から精力的にテストライドを楽しんでいた。

 今年は昨年にも増して出展者数が多く、会場となった女神前ポイントの駐車場では間に合わず、ビーチにまでボードが並ぶほどの盛況ぶりだった。また海外からのシェイパー、フィッシュライダーも昨年に増して多かった。大御所ではマイク・ヒンソン、Mr. Fish Fryことリッチ・パヴェル、本家サンディエゴでの第一回開催オリジナルメンバーであるリチャード・ケンビン、オーストラリアからは若手のダニエル・トムソンやセイジ・ジョスク、サンディエゴのイーライ・ミランドン、LAのイアン・ザモラやジョン・ウェグナー、サンフランシスコからダニー・へスなど、文字通り世界中からシェイパーが集結。初来日シェイパーも多く、フィッシュフライならではの顔ぶれが揃った。日本人シェイパーも阿部博や松本光二ら日本のサーフシーンを永年支えてきたベテランから、個性派、若手、ガレージ・シェイパーまでが幅広く参加。またライダー陣も国内外の豪華なメンバーがエキシビジョン・セッションに登場し、それぞれの個性を競い合った。

 今年とくに目を引いたのは、アライア系ボードの多さ。昨年は湘南の遠藤勇一が唯一ラインナップさせていただけだったが、今年は何人かのシェイパーがそれぞれの解釈で削ったフィンレス・ウッドを持ち込んでいた。フィッシュはもとより、こうしたオルタナティブ・ボード界のムーブメントのベクトルが一目で分かるのが、このイベントの面白いところ。シェイパー同士のデザイン論や、素材に関する情報交換なども個々に行なわれ、日頃シェイプルームに籠りがちなシェイパーたちにとっては、あたかもオフ会の如くマニアックな交流が交わされた。

 さらには、このイベントの主役とも言えるフィッシュ愛好家たちも、こうした光景に大興奮。何しろ普段はなかなかお目にかかれないシェイパーやフィッシュライダーたちに会えるまたとないチャンス。そのうえ気になるボードの試乗も出来るのだから、テンションが上がるのは無理もない。コンテストと違い、プロや外国人トップサーファーたちと一緒にパドルアウトして、海のなかでフィッシュ・サーフィンをみんなでシェアできるのも、フィッシュフライの醍醐味のひとつである。愛好家たちにはマニアも多く、専門誌のカタログ号やトレードショーなどでは到底お目にかかれないレア・ブランドやデザインのボードを適確にセレクトし、試乗と交流を楽しんだ。サーフィン業界主導ではなく、あくまでもフィッシュ愛好家が主導するイベントといった趣きが、フィッシュフライらしく実に印象的だった。

 今年のFish Fryは、後夜祭としてサイラス・サットン監督作品『Under the Sun』の上映も行ない、その幕を閉じた。本家サンディエゴはもちろんのこと、日本や世界の各所で、昨今フィッシュフライやAB3といったオルタナティブ系サーフボードの非商業主義的イベントが開催されている。後夜祭の『Under the Sun』の内容も含め、いまサーフィンの世界ではこうしたオルタナティブな世界観を志向するサーファーが急速に増幅しているという現実を、強く実感できる「Fish Fry Japan 2009」であった。


取材&撮影:冨田隆