第13回 OM杯2008 Contest Report 

text by コンテストデレクター  小川 直行

日本とインドネシアの友好親善を目的としたフレンドリーなサーフィンコンテストとしてOM杯は、1988年に千葉県鴨川市で発足し今回で第13回目を迎えることができた。これまでの歴代優勝者を含めた参加選手達は、現在のサーフシーンにおいて様々な方面で貢献し、プロサーフィングの登竜門ともいえるコンテストとして選手と共に歩んできた。

季節柄、地元のお祭りとOM杯が重なり朝からたくさんの人たちで、街に、海に、賑わいを見せている中、今年も南は九州、四国、大阪から、北は福島、仙台、北海道など全国各地から総勢約190名のコンペティタ−が名乗りを上げ、北上した熱帯低気圧の南東うねりのグッドスウェルを舞台に熾烈で、熱く、長い戦いの幕開けとなった。今大会では、まずジャッチ陣の強化を行いBBクラスにはJPBAツアージャッジをパネルインしサーフィンにおいてはISAレベルジャッジメンバーとオーストラリアからASPで実務をこなすマイケル氏なども招聘することが出来き、トップアマの選手を最高の審査基準で迎えることが大きなバックボーンになった。

オープンクラス
 
まず目に止まることは、各ヒートにカデットクラスの有名選手がクレジットされていることだ。中でも1回戦ヒート序盤に稲葉玲王が8.50ポイントを叩き出し観客を魅了した。また今回ダブルエントリーの宮崎の渡辺寛と三重の仲村拓久未はスペシャルクラスでは共にセミファイナルで敗退するが、そのヒートの反省点をみごとに修正し決勝では接戦の中ファーストライドで7.67pを守り抜いた仲村拓久未が渡辺寛のフルレールのカービィングコンビネーションをねじ伏せ僅差でワン・ツーを決めた。この2名においてはISAジャッジ陣からも非常に評価の高いコメントも届いておりパワーや経験という有利ではない状況をものともせず、大人と同じヒートを戦い制した若い世代の活躍は今後の日本サーフィン界のニューヒーローの誕生を確信させると評価された。

BBウィメンクラス

序盤注目のヒートとなったクウォーターファイナルの1ヒート目、昨年の覇者柴田梨加と1昨年の覇者京谷佳奈に今年のNSA全日本覇者の畠山美南美のクレジット。京谷佳奈がレフト方向のセットを掴むとリバーススピンからスピードのあるブレイクを抉じ開けてディープなボトムターンから大きく標高差のあるエルロロを決め 8.83pを奪取。この1本が本日のBBクラスのベストライディングになりヒートもダントツ1位で抜けていく。 2位は畠山美南海が混戦から丁寧なコンビネーションでしっかり岸までつなぎ1歩抜けだした形でラウンドUPを果す。残念ながら昨年覇者でラウンド1では絶好調ぶりを見せていた柴田梨加はここで敗退となってしまう。しかしファイナルに駒を進めたのは、大原沙莉、相田桃、畠山美南海、鈴木朋美の4名千葉東エリアで練習するボディボーダーの層の厚さを知らしめる4名となった。ファイナルでは潮があげてきて、割れにくくブレイクの速い波が多い中、まず大原がフォワードスピンから打点の高いエルロロを決め5.67pを先取、残る 3名も完成度の高いエルロロで応戦する。畠山が2本目のアベレージスコアをメイクし前半はトータル8.93pをもってトップで折り返す。しかし後半直後に大原がスピンとエルロロのコンビネーションをフローでまとめ5.10pをスコアリングしトータル10.77pで逆転。一方、相田、鈴木はコンパクトで形の良い波をつかみコンビネーションでまとめるも決めの1本に欠けスコアリングに苦しむ展開。そのままヒート終盤に差し掛かり波に恵まれずタイムアップ!見事、大原沙莉が初優勝を手中に収め、OM杯BBウィメンの女王となった。




サーフウィメンクラス

今年は前半に行われたJPSAプロトライアルで数多くのウィメンプロサーファーが誕生、このOM杯から毎年エントリーを頂いていた選手が現在活躍しているのは本当にうれしくありがたい事と、お礼の挨拶とともに各選手にエールの一言を贈ります。そして新しいビックネームに続く選手は誰なのか?大いに注目が集まったこのクラス。第13回女王の座はだれに・・・・?今回注目の選手となったのは、福島からのエントリー阿住聡子選手。大きく掘れ上がった波に対し深いボトムターンとトップリエントリーを確実に決めてくる安定したライディング。そのリズムは好調で1回戦からファイナルまですべて1位通過でUPする。対抗するのは昨年の女王に君臨する大村奈央選手。彼女もやはりファイナルまですべて1位で通過しておりこの2人に注目が集まる。次世代のビックネーム入りを目指す選手と現在JPSAを転戦しているトップアマもだまってはいられない。1回戦から見ごたえのあるヒートが連続し展開していく。バリなど海外で練習を積み重ね、ビックウェイブを得意とする選手達を筆頭に各ヒートが消化されていき、ファイナルに駒を進めたのは、大村奈央、伊藤みゆき、阿住聡子、新谷千尋の4名。大村、伊藤は昨年のファイナリストのOM杯常連メンバー、今回初のファイナルに阿住、新谷が加わり新鮮な顔ぶれ。ファイナルでは伊藤、新谷が前半リードするも大村が尻上がりにポイントを連続で叩きこみ6.77p+4.93pの合計11.70pで他の3人を寄せ付けず 2年連続のV2を達成した。注目の1人だった阿住は波のセレクトにブレが生じ好調だったリップが不発のまま4位でフィニッシュ。だが今後の期待に大きくポジションをとった形となり次の舞台に注目したいところだ。

スペシャルクラス

ラウンド1からどのヒートもハイパフォーマンス続出のデットヒート。今年も全国各地から戦歴あるTOPアマが大集結。しかもラウンド2からは昨年の優勝者の中里雄大選手や今年のNSAシニアクラス全日本覇者の白土勝久選手などの更に濃いメンバーがシード枠でのクレジット。そしてバリからの招待選手プトラヘルマワン、ラウンド2の1ヒート目、ゼッケンレッドからのスタート。プトラ選手はレンボーガン島出身の15歳、スタイリッシュなサーフィンで同世代を圧倒しているアップカマーは、OM杯のタイトルを自国に持ち帰る事がミッションだ。そんな背景の中、この日波の状況が一番良いベストタイムにラウンド2がスタートした。プトラ選手は1ヒート目シードで登場し注目されたが、波周りと波のセレクトの悪さにポイントを積み上げる事が出来ずまさかの敗退。しかしどのヒートも一瞬気を抜けば相手にいい波をメイクされ敗退していくサドンデス。ビックネームが揃う中、強豪を倒しファイナルに進出してきたのは、加藤嵐、湯川正人、金尾玲生の3名にリパチャージから見事にラウンドアップをしてきた大原洋人の4名。 ASP-WQSプロジュニア/カデットクラスで現在活躍中の選手が出揃う形となった。

ファイナルでは各自が自分の決めたポジションに位置しマークなど無縁のガチンコ対決を予想させる配置でヒートスタートを待つ。そしてオープニングウェーブに一番右サイドにポジショニングしていた湯川選手がレフト方向の波に反応し3発のバーディカルバックハンドリエントリーで 6.00pの専制パンチ。すかさず加藤選手もジャッジブース正面で鋭角なリップ&カービィングスラッシュを繰り出し5.33pで応戦。大原選手、金尾選手もフィンアウト、エアー、カービング、360℃、など持っている技のオンパレード。プログレッシブなマニューバーの演技を見せるが、インコンプリートや波がインサイドまで続かずポイントの上乗せが出来ない状況でヒートが進む展開。前半は大原が1本目にだした4.50p金尾は3.10pのベストスコアに対し湯川は6.00p加藤は5.33pの滑り出し。加藤は掴む波に対して確実にポイントを計上していく安定感ある試合運びで3本目には5.70pを並べ、カレントリーダーのポジションをキープ。金尾も得意技のグラブレールのフルカービィングカットバックなども披露し後半戦に5.60pをキープし波の質にうまく対応して調子をどんどん上げてくる気配。大原は小さい体から大きなラインを描き果敢に攻める。後半には良い波は掴むものの8本のマキシマムウェーブをすべて使い切りヒート終了前に結果を待つ事になる。そんな中、湯川はオープニングライドの再現VTRを見ているような3発のバックハンドリエントリーを再び決め6.67pを並べあげトータル 12.67pで一気に、加藤、金尾、大原3人の追撃を突き放しにかかる。残り1分を切ったラストスウェルに加藤が最後の望みを賭けライト方向の波にスピードあるボトムターンからクリティカルセクションへのパワーリップとローラーコースターのコンビネーション技できっちりまとめ、勝敗の行方は加藤と湯川のどちらか結果を待つ事となった。そして加藤のラストライドは5.90pが発表され惜しくも逆転するまでのポイントには至らず僅差で湯川正人がOM杯13代歴代チャンピオンに名前を残した。『湯川正人君 本当におめでとう!』

大会表彰式では、各1位の入賞者には、ガルーダインドネシア航空よりバリ島往復航空券が授与された。またジャッジ委員長の川井幹雄氏よりベストライディング賞が発表され、各クラスのベストライディング賞にはレイシオインターナショナル社からフィンオーダー券、BBウィメンクラスにはプロボディーボーダー作道プロよりルアナサーフデザイン社ハンドシェープボディーボードと大会理事でもある小倉肇氏の絵画が進呈され大いに盛り上がりを見せた。また大会会場では、オフィシャルドリンクスポンサ−である大塚製薬よりダブルアミノバリューや、新しいタイプの栄養補助食品SOYJOYが無料配布された。

大会開催中においてはOMツアー現地サーフツアーコーディネーターであるヤップ島サーフキャンプのジョー氏をはじめスリランカのシリ氏、そしてバリからは、あのマデ・スイトラ氏も登場、ASPジャッジのマイケル氏は、北スマトラサーフキャンプのオーナーとして、こうした世界各国から招聘されたゲストを招いて参加選手達とのコミュニケーションを図り、現地最新事情などの情報交換なども行っていた。そしてゲスト兼ジャッジとして日本サ−フィン界の不動のチャンピオン久我孝男プロも駆けつけてくれ、会場は終始明るい雰囲気でアマチュアサ−フィン界のビッグイベントである第13回OM杯は盛況のうち無事に終了いたしました。

今大会にご協力を頂いきましたスポンサー各社、関係スタッフ、そして参加選手の皆様に厚く御礼申し上げます。




【大会結果】

SPECIAL CLASS       
1位:湯川正人
2位:加藤嵐
3位:金尾玲生
4位:大原洋人
 
   
OPEN CLASS       
1位:仲村拓久未
2位:渡辺寛
3位:石川拳大
4位:高橋信也
 
   
SURF WOMEN CLASS       
1位:大村奈央
2位:新谷千尋
3位:伊藤みゆき
4位:安住聡子
 
   
BB WOMEN CLASS       
1位:大原沙莉
2位:畠山美南海
3位:相田桃
4位:鈴木朋美
 
   
ベストライディング賞
Special    R1- 3H    加藤 嵐   3本目 8.50
Open      R1-10H   稲葉 玲王  1本目 8.50
S-Women   R1- 1H 大村 奈央  3本目 7.67、SF- 1H 大村 奈央  2本目 7.67
BB-Women  R2- 1H  京谷 佳奈  2本目 8.83

 

【協賛】
デイトライン(OMTOUR)
ガル−ダインドネシア航空
(有)ハリ−ウエットスーツ(HOLLY)
(株)サ−フレジェンド(波伝説)
(有)ダブサ−フィングウェットス−ツ(DOVE)
RATIO FIN 
大塚製薬 (アミノバリュー・ソイジョイ)
とんかつ むさしや
オ−シャンライフ(株)(サ−フィンワ−ルド)
LUANA SURF DESIGN
順不同
【協力】 
鴨川サーフィンクラブ
【後援】
鴨川市観光協会

大会会長:丹野準二(株)デイトライン 代表取締役社長/大会審判委員長:川井幹雄 鴨川サーフィンクラブ会長/大会理事:小倉肇/運営委員長:川本庸生/放送.MC:高橋裕子/集計委員長:御田健司/公認ジャッジ:NSA専任ジャッジ(ISAジャッジライセンス資格者)Hジャッジ:恵利正、山田尚子、飯野静雄、加藤誠、レギュラー:越智展彦、福井晋、伊藤祐一、島川 義邦、加藤政一、綿引豊、加藤真弓、久我孝男、岡部亜紀、マデスイトラ、マイケル、設備:トラックス サーフィングライフ/設営:トラックス サーフィングライフ PAシステム:KCQS/広報・記録:川本庸生/ゼッケン:福井由紀子、飯塚佳子/ラウンドUP:川原恭代/集計プログラマー:井浦龍太 指方美和/ジャッジペーパー回収:小川リカ/会計.総務.救護:川原恭代/大会事務局:株式会社 デイトライン/コンテストディレクター:津田俊一 (日本サーフィン連盟理事)/コンテストプロデューサー:小川直行 (トラックス サーフィングライフ)



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