ジャパンプロサーフィンツアー2009
ロングボード第3戦「マーボーロイヤルプロ 神奈川地所カップ」
写真撮影、取材&文:池田潤
ジャパンプロサーフィンツアー2009
ロングボード第3戦男子 ラウンド3からファイナルヒート
マーボーロイヤルプロ 神奈川地所カップ
日時 2009年8月23日
開催場所/茨城県鉾田市 とっぷさんて下
主 催/日本プロサーフィン連盟(JPSA)
レポート 池田潤
ジャパンプロサーフィンツアー2009、ロングボード第3戦、マーボーロイヤルプロ 神奈川地所カップは7月11日に、神奈川県藤沢市 辻堂でヒートはスタート。男子はメインラウンド、ラウンド2まで、絶好のコンディションに恵まれ無事終了。
しかし、翌7月12日のファイナルディ、波のコンディションが急激に下がり、臑から膝のプアーコンディションとなり、ラウンド3より、順延が決定。ファイナルディはアマチュアコンテストと女子のファイナルを終了。女子は割鞘ジュリ選手が初優勝して幕をとじた。(詳細はこちら)
その後、スポンサー、選手関係者の協議の結果、残りヒートの開催日時は、ジャパンプロサーフィンツアー2009、ロングボード第4戦、茨城鉾田プロファイナル終了後、同日同場所での開催が決定。
8月23日、ジャパンプロサーフィンツアー2009、ロングボード第4戦、茨城鉾田プロファイナル終了後、茨城県鉾田市とっぷさんて下ポイントにて、マーボーロイヤルプロ 神奈川地所カップの再試合がラウンド3より、ヒートがスタート。
波のサイズは胸から肩。風は午前中は弱いオンショア、その後は無風から弱いサイドオフショアの申し分ない、ロングボードコンテストコンディション。長いライトハンダーと、短めのレフトハンダー。レフトは流れが入って、バックウォッシュも入るトリッキーなコンディションではあるが、潮の変化とともにポイントのメイクできるコンディションとなった。
そんな素晴らしいコンディションのなか、トップコンペティター達はこの日より再開されたラウンド3で実力を見せつけ、クォーターファイナルにヒートアップして行く。
しかし今回のような、ダブルヘッダーの試合となると、スタミナや集中力をきらさないメンタル面など様々な要素が影響するようで、ファイナル常連の喜納元輝、昨年度ランキング2位の鈴木康弘、それまで好調なサーフィンを見せていた鈴木剛等の強豪選手が、ラウンド3で敗退する波乱な展開。
そんな中、若手の森大騎、瀬筒裕太の89年生まれコンビ、ケコア・ウエムラ、ユージン・ティールのハワイ勢、ベテラン宮内謙至、松山欣則等は安定した実力を見せつけクォーターファイナルに駒を進めた。
クォーターファイナルヒート1
ケコア・ウエムラ、秋本祥平、土屋昌平、吉田泰
土屋昌平
このヒートではケコアが元世界ランキング2位、jpsaグランドチャンプの実力をいかんなく発揮してブッチギリでラウンドアップを決める。鎌倉のベテラン、そしてマーボーロイヤルライダーの土屋がレフトの波で、ビックなリエントリーを炸裂させ7点台をたたき出し、次のラウンドへ進む。ネオクラシックスタイルの吉田もスタイル満点のノーズライディングを見せ追撃するが惜しくもここで敗退。
ここまで好調を維持してきた宮崎の秋本もダブルヘッダーの疲れがでたのか、良い波がつかめずここまで。ケコアが格の違うサーフィンをみせて、同じくグーフィーフッターの土屋とともにラウンドアップ。
クォーターファイナルヒート2
石塚晃、森大騎、松山欣則、吉川祐二
石塚晃
鉾田プロでは本来の実力を発揮できなかった、松山が本来の実力を見せつけヒートをリード。本来のノーズライディングからのカットバック、オフザリップを交え高ポイントを連発。そのまま、危なげなくセミファイナルに駒を進める。
鉾田プロの優勝者、森もヒート序盤から安定したヒート運びで、ポイントを重ねていく。試合巧者の森はベテランのように淡々とヒートをこなし、安定感抜群でヒートをこなしラウンドアップ。これまで好調を維持した石塚だったがこのヒートでは波運に見放されて残念ながら敗退。吉川もロングボードらしいクラッシックなラインで得点を重ねるが、セットの波をつかむ事ができずにここまで。松山と森がセミファイナルに進む。
クォーターファイナルヒート3
ユージン・ティール、桜岡甲太、デヴィット木下、宮内謙至
ユージン
宮内がベテランらしい、落ち着きあるスムーズなラインからのノーズライディング、それにテールカーブを上手く使う弧の小さなカットバックを武器にポイントを重ねて一位でセミファイナルに駒を進める。第2戦の優勝者ユージンは、右方向からくるライトハンダーに照準を絞り、ノーズライディングからレイバックスラッシュ、フローターでロングライドを重ねる。
それに対するデヴィットは流れが入ったトリッキーなレフトをノーズライディングとドロップニーカットバックで応戦。僅差の2位争いはユージンに軍配があがる。普段はほとんどワイプアウトしない千葉の若手、桜岡は珍しくワイプアウトが目立ちここで残念ながら敗退。宮内とユージンがセミファイナルに駒を進めた。
クォーターファイナルヒート4
尾頭信弘、芦沢崇、吉田英司、瀬筒裕太
吉田英司
ラウンド3を1位で通過した、福島のベテラン芦沢と千葉の尾頭、鵠沼の若手、吉田の3人のグーフィーフッターと太東のレギュラーフッター瀬筒の戦い。瀬筒はシングルフィンのノーズライダーで沖のうねりを素早くキャッチしてライトハンド方向へノーズライディングを重ね、一人旅。早々にラウンドアップを決める。
残りのスポットをかけて、3人のグーフィーフッターによる2位争い。吉田がセットの波をつかみレフトハンドのフロントサイドでハングファイブからスナップの効いたリエントリーで先攻。芦沢もインサイドの波でハングファイブからフローター、バーティカルなオフザトップで対抗。グーフィーフッター対決を吉田が制してセミファイナルに進出。尾頭は波運に見放され、本来の実力を見せつけるとができずにここで敗退。
セミファイナルヒート1
ケコア・ウエムラ、松山欣則、ユージン・ティール、吉田英司
松山
ヒートがスタートしたのが、午後2時過ぎ。ファイナル終了は夕方の6時40分予定の為、どんどんとヒートが消化されていくなか、前のヒート結果がでると間髪置かずにセミファイナルがスタート。クォーターファイナルヒート4を2位通過した吉田は40分連続のハードヒートとなった。そんな、なかでも吉田は淡々とヒートをこなしていく。
そしてここまで、死角無しのケコアは長いハングファイブ、ハングテン、そしてカービングカットバック、バーティカルリッピングを武器に予想通りヒートをリード。後半ユージンも得意のレイバックスラッシュからフローター、インサイドでは低い姿勢のハングファイブでロングライドを連発して追い上げる。
松山もフロントサイド、バックサイドと小さめの切れた波を選びポイントを確実に重ねていく。セミファイナルヒート1は、予想通りケコアが安定した力を見せて、ダブルヘッダーの1、2試合ともにファイナルに進む。2位には同じくハワイ出身のユージンが続きファイナルにを進める。
セミファイナルヒート2
宮内謙至、瀬筒裕太、土屋昌平、森大騎
森
ヒート開始直後から、森がセットの波をつかみハングファイブからカービングカットバック、インサイドまで乗り継ぎヒートをリード。それに瀬筒も続き、スピーディーなノーズライディングでインサイドまで3つのセクションをつなぎ高ポイントを連発。土屋はレフトの波に照準をあわせて、ポイントを重ねるが、ライトの波とくらべるとクォリティーが今一歩で、アップアンドダウンからのリエントリーで追撃するが、ポイントが伸びない。
宮内はライトハンダーの波でハングファイブからカットバック、フロターのコンビネーションで確実にポイントをゲットして冷静にヒートをコントロール。ヒート後半、森がセットの波で長いハングファイブからフローター、そこからワンターンでオフザリップするとこのヒート、最高点の7点台をメイク。ラウンドアップを確定。瀬筒もこれに続き、ノーズライド主体のぶれないスタイルを貫き、宮内の猛撃を振り払い、僅差でファイナルへ進出。ベテランの土屋、宮内はここで惜しくも敗退。太東のヤングガン2名がダブルヘッダーの試合で2試合連続でファイナル進出の圧倒的なヤングパワーを見せつける結果となった。
ファイナル
ケコア・ウエムラ、ユージン・ティール、森大騎、瀬筒裕太
ケコア・ウエムラ
ファイナルヒートはハワイ出身のケコアと、ユージンVS太東ヤングガンの森、瀬筒の戦い。ヒートのスタートは6時10分。すでに季節はお盆過ぎであたりは、暗くなりかけている。ファイナルヒートは30分。ベスト2ウェーブで争われる。
ヒート開始直後、瀬筒がセットの波をつかみ長いハングファイブからインサイドまでセクションを乗り継ぎ会場から拍手がおこる。しかしクラッシックスタイルのノーズライディング中心のライディングでは、マニューバリティーが不足しているようで得点は5点台にとどまる。しかしその後も、瀬筒はスタイルを崩す事なく、自身の持つ最高のスタイルとパフォーマンスを披露する。シングルフィンにノーリーシュ、ナイロンのトランクスにノーズライディングのス60’sスタイルを貫き、日本最高峰のjpsaロングボードツアー2戦連続ファイナル進出することは並大抵のことではない。
瀬筒
瀬筒につづき、森もセミファイナルまで同様にハングファイブからダウンザラインしながらのハングテン、ラウンドハウスカットバック、そしてバーティカルなオフザトップを武器にハイスコアをメイクしていく。森はここ数年で、ケコア等のハイブリッドなロングボードスタイルを多く学び、吸収し、自分のスタイルとして進化させているように見受けられた。そのスタイルは進化系ではあるはずだが、すでに見ていても憎いほどの確実性も備えていることには、驚かずにはいられなかった。
ハワイアンの2人も日本の若手2人がハイスコアをメイクしているのを黙って指をくわえて見ている訳はない。ヒート中盤ケコアが猛チャージを開始。ヒート中盤で森とトップ争い。フロントサイド、バックサイドと縦横無尽に波を責め立てケコアが、ヒート中盤にトップに立つ。瀬筒も良い波をつかみ追撃するが点数が伸びない。ヒート終盤にはいると、それまで4位のユージンがセットの波をつかみ猛反撃を開始。7点台の高スコアをメイクするが、前半のバックアップスコアが低く惜しくも大逆転ならずヒートは終了。ヒート中盤より終始、ヒートをリードしたケコアがファイナルヒートを制して、嬉しい今期の初優勝を遂げた。
ダブルヘッダーの2試合目となる、この試合ではケコア、森、瀬筒は圧倒的な安定感を見せ、1試合目を含めて、ファイナルまでの8ヒートをすべてメイクしてきた。これで3人は、ファイナルヒート終了まで、合計すると試合時間だけで3時間を戦ったことになる。これにより、3人の実力が、フロックではない事、フィジカル、メンタルともに秀でたすぐれたアスリートであることを証明した。
そしてこの結果により、グランドチャンピオン争いも激化。
グランドチャンピオン争いは、最終戦のオールジャパンプロまで持ち越され、ますますjpsaロングボードサーキットからは目が離せなくなってきた。
最終戦の詳しいインフォメーション等はhttp://www.jpsa.comでチェックすることができます。
レポート 池田潤
詳しくはJPSAホームページをご覧ください。