ジャパンプロサーフィンツアー2009
ロングボード第2戦「静波ロングボードプロ」
写真撮影:佐原健司、取材&文:池田潤
ジャパンプロサーフィンツアー2009ロングボード第2戦「静波ロングボードプロ」は、初の試みとなった、モバイル方式で行われた画期的なコンテストとなった。26日の金曜日にスタートしたコンテストは静波でスタート。本戦の土曜日からは御前崎海岸に場所を移してヒートが行われた。波が最適な場所にコンテスト会場を移したことにより、コンテスト最終日は波数は少々少ないものの、ロングボードに適した波にも恵まれ、強い雨と風の厳しいコンディションとなったが、会場の御前崎坂下ポイントでは早朝より、熱い戦いが繰り広げられた。
ファイナルディは、ウィメンズヒートのセミファイナルよりスタート。満潮に向かう潮の影響で波のチョイスが難しいヒートとなったが、鴨川の割鞘ジュリ、マカハの植村未来、千葉外房の鈴木由貴、浜松の伊藤美夏の4人がファイナルに駒をすすめた。
その後、満潮に差し掛かる時間、約1時間半のインターバルが置かれて、コンディションが上向くのを待ってヒートが再開。雨が降り続くなか、メンズヒートのラウンド3がスタート。クイックなノーズライディングにプラスして、ハングテンを組み込み、クオリティーの高いカービングターンをする選手達が順当にクォーターファイナルに駒を進めた。今回の大会には、07年ショートボードグランドチャンピオンの林健太も参戦。格の違いを見せつけ難なくヒートを勝ち上がっていった。
クオーターファイナルでは、最近のショートボードをバックグラウンドに持つサーファーの活躍を象徴するように昨年度ランキング2位の鈴木康弘、ルーキーオブザイヤー東川康明が勝ち上がり、開幕戦の優勝者である森大騎が、テイクオフしてから素早いステップワークでノーズライド、そしてハングテン。セクションをラウンドハウスカットバックでつなぐ抜群のコンビネーションを見せてラウンドアップした。また、クオーターのヒート3には今大会一番の注目株の林健太が、抜群のポジショニングと冷静な波のチョイスを見せつけて、すいすいと混戦を抜け出して楽々のラウンドアップをみせた。今大会でプロ公認を受けた、辻島司は残念ながらここで敗退した。
そしてセミファイナル。ヒート1は、東川、林という二人のショートボードプロと、ベテランロンガーで元プロショートボーダーの石塚、そして若干19歳のカレントリーダー森の戦いとなった。このヒートでは中盤に圧倒的なサーフィンを見せた石塚晃がブッチギリでヒートをリード。2位には最近ではルーティーンに確実にノーズライディングを折り込み、カービングターンと爆発的なリエントリーを見せる東川が安定したパワーサーフィンを見せてファイナルへ。
ヒート2では、レイバックスラッシュからのロングノーズライド、ラウンドハウス、チューブライディングを見せたユージンが序盤でヒートを決めて圧倒的なスコアをまとめてファイナルへ。2位には、安定したノーズライドからルースなスタイルのカービングターンで応戦する鈴木康弘との戦いを制した喜納がバックハンドのハンディを感じさせずにファイナルにアップした。
ファイナルはウィメンズよりスタート。30分4人ヒートでの戦い。ホーンがなってまずライトハンドのセットの波をつかんだのは割鞘。ラウンド1で肩を脱臼するアクシデントがあったことを全く感じさせないパドリングで波をつかむと、ノーズライディングから低い姿勢でのターンを繰り返し、インサイドまで乗り継ぎビックスコアをメイク。その後も良い波を確実にメイクして前半で圧倒的優位にたち、ヒートをリードした。
鈴木もセットの波を乗り継ぎ、割鞘を追いつめる。植村はポイントが伸びず、小さめの波でポイントを稼ぐ。波数が少なく伊藤はなかなか良い波をつかめない。後半まで1位割鞘、2位鈴木、3位植村、4位伊藤の展開がつづいた。そしてヒート終了まで残り2分をきったところで運命の波がやってきた。植村はミドルセクションから形の良い波を見つけ出し、グレースフルなバックハンド・ハングファイブからカットバックをみせてハイスコアをゲット。残り1分のコールの時点でなんと一気に1位に上がる。そのままセットの波を待たずにヒートは終了。植村未来が劇的な大逆転勝利を収めて、初代の静波ロングボードプロ・ウィメンズウィナーに輝いた。
ウィメンズヒートの興奮収まらないなかメンズのファイナルがスタート。ベテラン石塚、グランドチャンピオン経験者のユージン、ファイナル常連の東川、ハワイのヤングガン、喜納の戦い。まずは絶好調のユージンが小さめの波を続けざまに2本つかみ、得点を重ねて行く。セットの波をつかむ為に、厳しいポジショニング争いと心理戦が続く前半、石塚と東川が同じ波にテイクオフして、石塚が痛恨のインターフェア。
これにより楽にヒートを薦める事ができるようになったユージンは余裕のサーフィンを見せつけて中盤ヒートを大きくリード。そんななか石塚と喜納がクロスするトラブル発生。ダブルインターフェアとなり、石塚は2度目のインターフェアによりノースコア。これでまたしても楽な展開となったのがユージン。東川は逆転できるような波に恵まれずない。インターフェアで後がなくなった、喜納はミドルセクションでパンチのあるサーフィンを見せて東川を逆転するが、ユージンにはコンビネーションの大差をつけられヒートはここで終了。
ユージン・ティールがケコア・ウエムラ、喜納元輝参戦により、しばらく遠ざかっていた優勝を手に入れ、ランキング争いでもトップに踊りでて、2度目のグランドチャンピオン獲得に向けて絶好の位置を手に入れることに成功した。
開催期日/6月26日(金)~28日(日)
※26日(金)プロトライアル
開催場所/静岡県牧之原市 静波
主 催/日本プロサーフィン連盟(JPSA)
後 援/牧之原市
牧之原市観光協会
牧之原市教育委員会
男子優勝/ユージン・ティール、2位/喜納元輝、3位/東川泰明、4位/石塚晃
女子優勝/植村未来、2位/割鞘ジュリ3位/鈴木由貴、4位/伊藤美夏
プロ合格者<男子>一岡祥平、久保龍一、浜野展行、那須憲治、辻嶋司、松井雄樹 、林健太、江頭慎吾 <女子>水口朋香
詳しくはJPSAホームページをご覧ください。